確固たる現実世界
確固たる愛とか信頼関係とか要らないって
本能のまま肌を擦り合わせる行為に及んだとして
あの日、もしも、仮にだよ
それが何なのか
それが一番幸せだし不幸だとわたしは思った、あなたも思った
偽善だらけで虚構だよ、この世界は
紛い物だよ、みんなコピペだ
そんなアホみたいな世界であなたといるときだけがもしかして生きていけるかもしれないと思った
デート、飲酒、食事、また食事、そんでまた飲酒、土曜日になったらデートするんだろ
でもどれをとってもすべて虚構なのね
わたしはうそつきだしあなたもうそつきだ
うそとうそを持ち寄りあってパーティーしてるんだけどだんだん夜が明けてきて、お互いの顔を明るみでみるのよ
そのとき知る。
はじめてあった時と同じ人とは思えない。
むしろ人とは思えない。
こんな生物みたことない。
だってあなたは蝉みたいな声で鳴いて羽根が生えていて、胸から無数の脚が蠢いている。
わたしはといえば、お尻から巨大な針が突き出て、腹は丸くて卵を産み落としている。
こんなの見たことがない。
いつのまに。
そのままの姿で遊びに行ったり仕事に行ったりしているうちに
いつかの人間らしい姿を切望し
わたしは服毒自殺し、あなたは空を飛んでいく。
梅雨の空に飛んでいって最終的には路上に野垂れ死ぬ。